今回は、天フラン殿の作品。
「ヤモリ転生~家はお嬢様の手のひらでした~」の、幼年編・第一部 全19エピソードの感想を書いていきます。
『幼い』という状態・形態について

聡い子供は多くいます。
しかし、経験豊富な1歳児はいません。 戦場で生まれた孤児は1歳でフェラーリの乗り心地を知らないでしょうし、豊かな家の1歳は自分を抱く冷たい体は知らないでしょう。
今回、私の読んだ「ヤモリ転生~家はお嬢様の手のひらでした~」(略:ヤモリ転生)は経験が未熟な子供、中心人物であるリーシュと呼ばれる貴族の幼さの造形がとても上手く、そこはかとない子供感を感じることが出来ます。
ヤモリ転生は、主人公の能力的成長・リーシュの幼い可愛さ、この二つが魅力の中心だと私は感じました。
今回は、二つの魅力の内「リーシュの幼い可愛さ」を中心として書いていきます。
創作的な幼さの造形

ヤモリ転生で中心人物として扱われる貴族の少女リーシュ。 今作ではリーシュの幼さへのこだわりが強く見えます。
リーシュの初登場時は4歳。 わがままで遊びたい盛りのやんちゃな子供です。 実際、自分の宝石箱にアブラムシを詰め込んで大事になったのに、懲りずに主人公であるヤモリをアブラムシのいた宝石箱に入れて秘密で飼ったり。
許可が出たあとは、家の中を飛んだり跳ねたり走ったり、走らないようにと言われても「走ってないよ!」と口で言って走り回る。 勉強の時間には、なにか理屈をこねてやらない言い訳を考える。
かなり子供です。
それでも実の所、読者のストレスになりそうな部分は、かなり取り除かれています。 過剰な反発はありませんし、勉強や礼儀作法にもやりたくないと泣きわめくとこもありません。
泣きわめかず勉強などをする点は、憧れの超凄い姉に成れますよと従者が上手く誘導して、リーシュが姉が関わるとかなりチョロい部分も大きいとは思いますが。
それでも、創作的な可愛さを認識し易い幼さであり、その造形が堅実であり緻密だと思いました。
方向性と選定

創作的な幼さの造形で「可愛さ」こそが、創作的に良い幼さの表現。
そんな風に読めるような文章を書きましたが、可愛さだけが創作的に良い表現等ということは、断じてそんな事はありません。
『シャングリラ・フロンティア 見上げた空、広がる海、深淵の都市を駆けて』の「スチューデ」 『魔術師クノンは見えている』の主人公「クノン」 『OEN PIECE 第1話 ―冒険の夜明け―』時点の「ルフィ」 『赤ずきんの狼弟子』の「マニ」
創作の幼さの造形は、多種多様な方向性があり全てに特有の幼さがあります。 必要なのは、幼さが表現したい方向性にあっているかだと考えます。
積極的に話かけてくるが何処か人を舐めた言動で、物事を断わったり注意すると拗ねて機嫌を損なう。 嫌だ嫌だと言うばかりで、お菓子を渡しても黙るだけ。 天真爛漫で何にでも興味を示し危なっかしい。
明るく可愛らしい子で無意識でへこんでる事に気づき、声を励ましに声をかけてくる。 無口だが技術に夢中で懐いてくる。 強い魔法が好きで見せる変わりに手伝ってくれたり嬉しそうに話しかけてくる。
これらはどれも両立しますし幼い人間の側面の一つ。
創作に置いて、幼さには方向性と、表現したい物語にあった選定が必要だと私は考え。 ヤモリ転生はその部分をとても上手く表現していると思います。
側面は必ず現れるものでもなく。 絶対に存在する部分でもない。 というのも、大切で意識するべき要素だと感じます。
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『幼い』という状態・形態について

リーシュの可愛らしい幼さと、作者のブレない表現の方向性と幼い部分の選定が緻密。 なおかつ環境に対するリーシュと他キャラクターの年齢相応な反応と情緒の動きが丁寧な良作だと思います。
後書き

とても良い作品です。
少しでも気になった方は取り敢えず5話まで読んで、その勢いで読了。 あるいは1話でリタイアする方もいらっしゃると思いますので、リーシュの登場する2話あるいは3話をから読むことをオススメします。
キャラクターの情緒や主人公の能力による喜びなどを中心に、丁寧に力を入れた作品だと思いますので、情緒の動きや主人公の能力の活躍・工夫が好きな方にオススメの作品です。
今作は「カクヨム」にて55エピソードまで連載中です。
最後に今作へのリンクを張って置きますので、気になった方は是非ご一読ください。